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【ソチ】カーリング日本女子振り返り

4勝5敗の5位。
立派な成績ではあるけれど、もう一歩前に進めたのではという悔しい思いとともにソチのカーリング日本代表の挑戦は終わりました。

突如襲ったアクシデントと吉田の安定感

苫米地、小野寺、船山、小笠原の4人を固定したメンバーでずっと戦って来たチームにインフルエンザというアクシデントが襲ったのは予選開始の直前のこと。メンバー随一のパワーを持ったセカンド小野寺の離脱は大変痛かった。急遽リザーブの吉田が公式戦で初となるセカンドを務めた初戦の韓国戦はチーム全体がふわふわと安定しないショットの連続で、今大会唯一日本より世界ランキングが劣る韓国に完敗。正直予選突破は大変厳しくなったと思わざるをえませんでした。

二戦目になってからは急造セカンド吉田のショットが安定感を見せ始めます。三戦目のロシア戦では88%のショット率を叩き出し、デンマーク・ロシアを全く寄せ付けずに連勝して2勝1敗と白星先攻。立役者は吉田だったと思います。慣れないセカンド、それも本職の小野寺とは全くタイプの違う選手ですがぶっつけ本番で期待以上の力を見せてくれました。

小野寺復調に賭けるも・・

4戦目でインフルエンザで欠場していた小野寺が復帰。今大会初出場となった小野寺のショット率は66%と安定せずに6-8の敗戦。結果的にこのアメリカ戦での敗戦が予選突破に向けて大きく影響しました。後半戦にイギリス、カナダ、スイス、中国、スウェーデンと強豪国が揃う展開で序盤は絶対に3勝1敗で切り抜けて欲しかったところ。小野寺はインフルエンザの影響もあるのかイギリス、カナダ戦もショットが安定せずに3戦トータル64%のショット率で大会を終える事になりました。

小野寺の復調にかけたメンバー配置でしたが結果としてそれが裏目に出てしまったような気がします。苫米地-吉田のリードセカンドコンビが機能していただけにそのまま最後まで戦っていたらまた違った結果が出ていたような。カナダ戦を終えた段階で苫米地-吉田に戻しますが時既に遅し、スイス中国に連勝するもオリンピック2連覇中のスウェーデンに完敗して予選突破の可能性が絶たれました。

ベストコンディションでの戦いが見たかった

スウェーデン戦後に船山が「もう少し私たちは出来たんじゃなかったか」というコメントを残していましたが私もそう思います。アクシデントによって毎試合オーダーがころころと変わる展開でチームとしての実力が発揮し辛かった。ベストコンディションであれば小野寺が不動のセカンドであるということは認めた上で、しかし苫米地-吉田のリードセカンドで全試合臨んでいればまた違った結果が出ていたのではないか。そういう後悔はおそらくオーダーを決めた小笠原やコーチにもあると思います。

今後このチームはどうなるのか

日本のカーリング女子チームはオリンピックが終わる度にメンバー編成がガラッと変わってしまい、継続して経験を積み重ねるということが今までありませんでした。特にスキップが二大会連続して出場したことが無いんですね。
2002 3船山 4加藤
2006 3船山 4小笠原
2010 3近江谷 4目黒
2014 3船山 4小笠原
海外の強豪チームは10年以上もサードスキップを固定で戦っているチームばかりです。チームとしての積み重ね・継続性が重要な競技ですので、日本もオリンピックのたびにオーダーがガラッと変わるのではなく、10年スパンを見据えたチームが多く出て来て欲しいなと思います。
小笠原選手が北海道銀行のスキップを続けるのは間違いありませんが、船山・苫米地選手は今後どうするのでしょうか。「今後の事は考えられない」と船山選手がスウェーデン戦後にコメントを残したという報道もあって気になっています。

北海道銀行中部電力、それに続く第三のチーム

今後も北海道銀行中部電力が女子カーリング界を引っ張るのは間違い有りません。それに続く第三のチームが現れるようだと日本のカーリング界も非常に層が厚くなってレベルアップするはずです。北見のロコソラーレか、はたまた学生チームが急成長するのか。カーリングブームの立役者のチーム青森の復活はもう無いのか。

解説の敦賀信人さん

この人に触れないわけにはいきません、解説を務められた敦賀信人さん。最高の解説者だったのではないでしょうか。長野オリンピックに若干18歳でスキップとして出場された方です。アメリカ戦後の涙は大会ハイライトシーンで必ず使われていたので記憶に有る方も多いのではないでしょうか。

トリノバンクーバーと熱い解説で御馴染みだった小林宏さんではなく敦賀さんに変わった事を大会前のネットの掲示板では落胆する声もありましたが、去年のオリンピック世界最終予選での解説を聞いていた私は全く心配していませんでした。大変わかりやすい解説でより一層ゲームを楽しむ事ができました。やはり試合後はネットでもかなり評判が高かったようです。石崎さんとのダブル解説もまた聞きたいですね。
カーリングは解説抜きにはなかなか分かり辛い難解なスポーツですので、今後も質の高い解説を期待しています。

4年後に向けて

今大会と同じレギュレーションだと仮定すると2018年の出場にはいくつかの壁を越えなくてはなりません。
オリンピックに出場できる国は以下の10カ国です
(1) 開催国(次回は韓国)
(2) 2016・2017年の世界選手権でのポイントの上位7カ国
(3) (2)の条件を逃した国の中で、2015~2017年の世界選手権に一度でも出場したことがある国の中での最終予選上位2カ国

今大会の日本はギリギリ(3)の世界最終予選で出場を決めましたが、次回大会はさらに厳しい情勢となることが予想されています。まず大前提となる世界選手権への出場すらも困難な状況だからです。

アジアからの世界選手権出場枠はたったの2つで、世界選手権の前年に行われるパシフィック選手権で2位以内に入ったチームしか出場できません。つまり、近年強化が目覚ましい中国と韓国というライバルに勝たなければ世界選手権にすら出場する事ができないのです。

パシフィック選手権 →(2位以内)→ 世界選手権 →(上位)→ オリンピック出場

ちなみに2013年に行われたパシフィック選手権では3位に終わり、2014年の世界選手権の出場はなりませんでした。次回開催国である韓国はカーリングをさらに強化することを明言しており、アジアで2位以内に入るのは年々厳しくなっているといわざるをえません。

もしオリンピック出場を逃せば徐々に積み上げてきたものが一気に崩壊する可能性もあります。まずは今年のパシフィック選手権で二位以内に入れるように祈りたいところです。